梅の里便り第24号 2010.6.8

早いもので、青梅のお届けも今年で3年目を迎えました。

今年は昨年にも増して多くの皆様よりご注文を頂き(リピートいただいたお客様も多く)、

うちの青梅が喜んでいただけているんだなーと感じて とても嬉しく思っています。

本当にありがとうございます。

 

梅の里便り創刊号にもありますように、里の畑では、未だ今年も新芽にアブラムシが付いている木があります。(山の方の畑には初年度から一切付くことがありません。やはり肥料分との係わりが深そうです。)

でも、今年はフェアリーベッチというマメ科の草を生やして利用した以外は有機肥料も一切施さなかったせいか、去年よりは付いているアブラムシの量も幾分少ない感じですし、今のところ梅の実には殆ど影響していないのでホッとしています。

 

さて、今年も収穫の時期を迎え、南高梅独特の色鮮やかな紅色を帯びた梅の実があちこちに見られ始めました。

   左:里の畑 右:山の畑

その色合いは、なんだか、畑の中の全ての命や、お天道様も含めた全ての存在に感謝しているようにも感じます。そして、その風情の一端をみなさまにもお届けできると思うと、僕まで、それらの全ての存在に感謝したい気持ちにもなり 嬉しくなってきます。

 

ただ、南高梅の実の特質から、お日様の日差しを直接受けることのできる一部の実だけがこの装いをする特権を得ているわけなので、全てのお客様にこの色鮮やかな紅色を愛でていただくことができないのが、ちょっと残念です。

(ちなみに、梅干などの素材としては、必ずしも紅色が濃い方がいいわけでもありません。写真から少しでもその風情を感じていただけたら幸いです。)

 

もちろん、梅の実が熟してくる際の、あのなんともいえない独特の甘い香りは全ての皆様に味わっていただけることと思います。

 

ところで、今年も綺麗な南高梅をお届けできるということは、何よりも僕自身にとって、本当に嬉しいことです。 あらためて、これまでご縁をいただいた全ての皆様に感謝だなー、ありがたいなーとしみじみ感じています。

思えば、30年以上前、僕が中学生の頃、山の畑の梅の木を植えて残してくれた親父にも、16年前に、(勤めていた僕が「収穫の時以外はいっさい世話をせんよー」と宣言していたにもかかわらず、)里の畑に梅の木を植えてくれたお袋にも、親父が倒れた後、4年前に僕が早期退職をして「自然農」の百姓になるまでの長い間、代わりに世話を続けてくれていた二人の叔父にも、「無農薬栽培で綺麗な南高梅らできるかー?」といいつつも、暖かく(『言うても聞かんやろ』と半ば諦めて)見守ってくれていた、姉や嫁の両親や親戚の人たちにも、『隣接する園地に影響ないかー?』と心配しながら観てくれている地域の皆さんにも、みんなに感謝せなあかんなーと思っています。

 

もちろん、時として文句をいいながらでも、全面的に収穫発送を手伝ってくれている家内や家内のお友達や妹には、この時期は特に足を向けては寝られません。なかなか手伝ってはもらえませんが、高校生の息子や小3の娘の静かなエールも力になっています。

 

それから、忘れてはいけないのが、「南高梅」を日本一のブランドに育て、紀州みなべを「日本一の梅の里」として発展させて来てくれた先人の皆さんや、地域の農家の皆さん、農協さんや役場、梅屋さんはじめ梅産業にかかわっておられる皆さんに感謝することでしょう。それらの皆さんのこれまでのご苦労は並大抵のものではなかったことと思います。

 

そして、なによりも、うちの南高梅に価値を感じてご要望いただいた皆様方がいてこそ、直接的なお届けを続けていけるわけで、ひいてはそれが、僕の喜び、生きがいの源泉にもなっていると、皆様方には深く感謝しています。

ほんとにありがとうございます。

 

最後に、(こんなことを書くと、ちょっと引かれてしまうかもしれませんが)、最近、梅の木はもとより、畑の中の全ての生命がみんな味方をしてくれているのではないかと感じる時があります。

もちろん、僕も、剪定の仕方を工夫するとか、施肥を控え緑肥作物を活用するとか、柑橘との混植を試してみたりとか、多少技術的な工夫もしていますが、それは自然界の命の営みから考えるとほんの一部分のことで、綺麗な梅の実をならせてくれているのは、何よりも畑のたくさんの命たちの絶妙のハーモニーのなせる技であり、僕はたまたまそれを極力壊すことをしてこなかったことへのご褒美をいただけているのではないかと感じています。

そう思うと、畑の中のたくさんの命の豊かさをとてもありがたく感じます。

そして、結局のところ、僕達百姓はその絶妙のハーモニーが保たれていくように、過不足のない手助けをするという役割をになっているのに過ぎないのではとも思えてくるのです。

 

どうか、太陽の恵み、大地の力を一杯受けて、逞しく、自然に育った南高梅の色と香り、そこに皆様のまごころが加わって生み出されるなんともいえない風味をお楽しみいただけたら幸いです。

ぜひ、また作られた梅干や梅酒、梅ジュース(梅シロップ)などの感想をお聞かせいただけると嬉しいです。

                            







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